止水板

安価な止水対策のポイント  ~ 代表的な止水板を「費用」「止水性」「設置性」などで比較 ~

安価に止水番を設置する方法ろ気を付けるポイント

近年、ゲリラ豪雨や線状降水帯による浸水被害が全国各地で深刻化しています。
国土交通省が発表した「令和6年の水害被害額(暫定値)」によると、全国の水害被害額は約7,700億円に達し、過去10年間で3番目に大きな規模となりました。

これまで「うちは大丈夫」と考えていたエリアでも、いつ床下・床上浸水が起きてもおかしくありません。
とはいえ、どこまで備えればよいのか、何にお金をかけるべきか、迷ってしまう方も多いと思います。
特に、「できるだけコストを抑えて、効果的な止水対策をしたい」と考える方は多いのではないでしょうか。

安価に導入できる止水対策には、いくつかの方法があります。
しかし、価格だけで選ぶと、止水性能や設置のしやすさ、繰り返し使用できるかといった点で、想定と異なる場合があります。

本記事では、代表的な止水方法について、費用・止水性・設置性・保管性などの項目別に比較し、それぞれの特徴と注意点を解説します。

目次

止水板をシンプルに価格だけで選ぶなら…

一口に「止水板」と言っても、素材・構造、設置方式などによって製品は千差万別です。

例えば、国土交通省の浸水防止用設備のガイドラインでは、こちらのコラムのような分類がなされており、その多くが一般的には「止水板」と呼ばれています。

その中でも代表的なタイプの価格帯をざっくり図式化すると次のとおりです。

仮に価格帯だけで止水板を選ぶなら、多くの製品が次の特徴を持つ

  • 樹脂製
  • (大量生産できる)規格品/既製品
  • 施工不要

ウォール型(簡易型)止水板が、自然とファーストチョイスになることでしょう。

止水板選びで気をつけるべき5つのポイント

止水板を選ぶ際に、「価格」を重視することは、もちろん悪いことではありません。
しかし、止水板は “安く導入すること”だけ が目的でもないはずです。

止水板導入の目的は、『浸水被害から大事な建物や設備、資産を守ること。

ウォール型(簡易)と脱着式止水板については、カタログ上の仕様だけでなく、実際に設置した際の扱いや止水時の状態も確認したうえで、5つの気をつけておくべきポイントを紹介します。

① 製品自体の性能

浸水時には大きな水圧がかかります。
そして、止水板は見た目だけでは性能を判断できません。
同じような形状でも、漏水量・水圧耐性・パネル変形量などに差が出ることがあります。

そのため、止水板を選定する際には、

  • 性能試験を実施しているか?
  • 試験結果(データ)を開示しているか?

などを確認しておくと良いでしょう。

特に、JIS規格(JIS A 4716)では、設定浸水高さに対する「漏水量」によって性能等級(Ws等級)が6段階で規定されていますので、

  • JIS規格に準拠した性能試験が行われているか?
  • その性能試験の結果は、どの等級に相当するものになっているか?

を確認しておくと、比較的、安心して製品選びを進められると思います。

② 設置環境

浸水は、ほんの少しの隙間からでも起こり得ます。
いくら止水板自体の性能が高くても、接地面に密着させることが出来なければ、その効果は半減してしまいます。

そのため、設置環境として

  • 設置床面は水平で、表面に凸凹がない状態か?
  • 開口部は、並行(斜めや特殊形状になっていない)か?
  • 接地側の強度は問題ないか?

などを確認しておくことも重要です。

特に、既製品/規格品を選択する場合は、設置環境に応じた設計がなされている訳ではありませんので、購入した後に後悔しないためにも選定時に十分な検討をお薦めします。

開口部に合わせて制作するオーダー(カスタム)メイド製品の場合は、無料で現地調査を行ってもらえるメーカーもありますので、心配であれば、そうしたサービスを利用されるのが良いでしょう。

③ 止水したい高さ

想定しておくべき浸水は、立地によっても異なります。
ハザードマップで想定浸水深が深いエリアに立地していれば、できるだけその想定に備えて止水板を準備しておくのが安心です。
それ以外にも、道路より低い立地や地下空間、河川近接エリアなどの個別の立地要因があれば、より深い浸水深に備えた準備をしておく必要があるかもしれません。

そのため、止水板選択の際には

  • どの程度の高さまで止水したいか?

などを予め検討しておくことも必要です。

止水できる高さの目安の一つとしては、以下を頭に入れておくと良いと思います。

1段のみで対応する止水板 最高でも1m程度まで*
2段・3段積み重ねられる止水板 1m以上も対応可能な製品がある*

* 製品によっても異なります。詳細は、各メーカーにお問い合わせください。

④ 設置の手間

浸水、特に近年のゲリラ豪雨などによるものは、突然始まり、そして一気に水嵩が増すこともままあります。
止水板を常設しておけるような開口部は問題ありませんが、玄関・エントランス・搬入出口など人や物の出入りが頻繁な間口はそうはいきません。
そこで重要となるのが、いかにスピーディに簡単に設置できるか?です。

そのため止水板の種類の検討にあたっては、

  • どのくらいの手間や時間がかかるのか?
    ※開口部の幅などによっても大きく異なる場合があります。
  • ふだんの置き場所は、どこが想定できるのか?

などを考慮にいれておくとより安心な選択ができます。

この点に関しては、概して言えば、

上から順に簡単に設置できる場合が多い印象です。
特にウォール型の場合、1枚当たりの止水面積が狭い場合が多く、開口部が広い場合などは意外と止水に手間取る可能性もありますので、ご留意いただく方が良いでしょう。

できれば、運用目線でも現物を確認して、選定を進めることをお勧めいたします。

⑤ 寿命・メンテナンス性

止水板は、一度設置したら終わりではありません。
豪雨や台風はいつ発生するかわからないため、イザという時に正常に使える状態を維持しておく必要があります。

そのため、「長期間使用できるか」「メンテンナンスしやすいか」という視点も重要です。

また、止水板は種類や素材によっても耐久性やメンテナンス性に違いがあります。

例えば、ウォール型(簡易型)でよく使われる樹脂系素材は、軽量で扱いやすい反面、紫外線や温度変化などの影響を受けやすいため、仕様環境や保管環境によっては比較的早く劣化が進むケースもあります。

一方、脱着式や据え付け式(自動式)でよく使われるアルミやステンレスなどの金属素材は、適切なメンテナンスを行うことで10年以上使用できることもあります。
ただ、金属製であっても環境やメンテナンス不足により腐食や劣化が進行する場合がありますので、細かく言えば、次のようなポイントも確認しておくのが安心でしょう。

  • パッキンの素材屋交換方法
  • (支柱など)設置部材の素材や仕様
  • メンテナンスのタイミングやコスト
    ※「据え付け型(自動式)」では特に重要

現場に必要な止水板を費用対効果高く購入するには?

ここまで、「止水板選びで気を付けるべき5つのポイント」について紹介してきました。

このように、止水板は、『浸水被害から大事な建物や設備、資産を守る』ためのもの。
大切なのは、現場に必要な性能や使い勝手を満たしたうえで、できるだけ無駄なコストをかけずに導入することです。

そこで、費用対効果高く止水板を導入するために、ぜひ実践していただきたいポイントを2つご紹介します。

① 条件に合う止水板が複数あれば、キチンと比較検討してみましょう

止水板は、同じような用途や性能を持つ製品であっても、メーカーや施工会社によって価格が異なる場合があります。

この点は、据え付け型の止水板に限らず、(施工が必要な)後付けタイプの止水板でも、製品本体の価格だけでなく、施工方法や付帯工事の内容によっても費用が変わるため、一見すると同じような製品でも見積金額に差が出ることは珍しくありません。

そのため、条件に合う止水板が複数ある場合は、複数の製品や提案内容を比較検討すると良いでしょう。
ただし、比較する際は価格だけを見るのではなく、

  • 見積内容にどこまで含まれているのか
  • 現地調査や施工対応の有無
  • 導入後のサポート体制

なども併せて確認しておくと安心だと思います。

② 使える補助金がないか情報収集してみましょう

自治体によっては、浸水対策や防災対策を目的とした補助金制度が設けられている場合があります。

補助対象や条件は自治体ごとに異なりますが、止水板本体だけでなく、設置工事費の一部が補助対象となるケースもあります。
また、募集期間や予算枠が設定されている制度もあるため、導入を検討する際は早めに情報収集しておくと良いでしょう。

「予算的に難しい」と判断する前に、一度自治体のホームページや防災関連窓口などで確認してみることをおすすめします。

[参考]後付けカスタムメイドの止水板。こんなところで価格が変わってきます

KTXでは、お客様の現場条件に合わせたカスタムメイドで止水板をご提案しています。

止水板は、単純に「サイズが合えば良い」という製品ではありません。
設置場所によって、想定浸水深による必要な止水高さ、開口条件、床面の状況などが異なるため、仕様や施工内容も変わります。そのため、価格も一律ではなく、現場条件によって変動します。

開口サイズ

間口幅が大きくなるほど、価格は高くなります。
設計上、止水板1枚での設置が難しい大型間口は、中間支柱を設けて分割して設置します。

事例を見る

止水高さ

止水したい高さが高くなればなるほど、価格は高くなります。
設計上、止水板1枚での設置が難しい場合は、複数段止水板を重ねて設置します。

事例を見る

設置場所の条件

設置方法や現場条件によって施工方法が大きく変わります。

  • 中間支柱を要する
  • 地面がアスファルト、凹凸・傾斜がある
  • 止水板設置位置にグレーチング等排水設備がある

これらの場合は、床面への追加施工が必要になる場合があります。
KTXでは、現地調査を行ったうえで、現場条件に合わせた提案を行っています。

お問い合わせはこちらから

まとめ:「安価」だけで止水板を選ばないことが重要

止水板を検討する際、多くの方が「できるだけ安価に設置したい」と考えると思います。
もちろん、コストを抑えることは重要です。
しかし、本当に大切なのは、「必要な止水性能を確保できるか」という点です。
価格だけで選んでしまうと、結果的に大きな損失を招く可能性があります。

だからこそ、

  • 現場条件にあっているか
  • 必要な止水性能を満たしているか
  • 性能試験データが確認できるか
  • 緊急時に確実に運用できるか

を踏まえたうえで、“適正価格”の止水板を選ぶことが重要です。

「安価」と「安心」のバランスを取りながら、建物や設備を守るための止水対策を検討していきましょう。

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